目指すは障害者・健常者を地域が区別しない環境作り
2020年の東京五輪・パラリンピックまで2年たらず。五輪の大会日程が固まってきた。関東はじめ全国各地で毎週のように開かれる各種のイベントがブームアップに貢献しているのは事実。
こうしたなか、今年で5回目を迎える小中学生が対象の「中外製薬 車いすテニスキャンプ2018」を主催するのが坂口さん。勝浦市の勝浦東急サニーパークテニスコートで7月28、29日の一泊二日で行われた=写真左下。
千葉はじめ東京、埼玉、神奈川の一都三県から障害者13人、健常者約30人が参加し、交流を深めた。「健常者がふだん、接する機会の少ない障害者と一緒になることで車いすテニスだけでなく、バスケットボール、ソフトボールなど色々なパラスポーツから成り立っていることを感じ取ってもらえればありがたい」と開催のねらいを振り返った。
こうした活動には資金面で “個人寄付” が頼り。今年は自身が校長を務める車いすスポーツクラブ「ウラテク」キャンプから大手製薬・中外製薬の “冠” が加わったのは心強いと坂口さん。
ここまで車いすスポーツにこだわってきた背景には車いすテニスでパラリンピック日本代表を目指す長男、竜太郎さん(14)=高洲中3年=の存在がある。
福岡県出身で2歳の時、交通事故で脊髄を損傷。米国でのリハビリを経て、神奈川県からバリアフリーが充実している浦安市に10年前転居。「孟母三遷ではないですが、市営車いすテニスコートも作ってもらい浦安にきて本当によかった」という。
竜太郎さんが車いすテニスのレジェンド国枝慎吾選手にあこがれたのがきっかけだが、パラ代表は男女各4人の狭き門。「息子はJWTA国内ランキング45位。海外で戦い9位の国枝選手と同じ土俵。可能性はゼロではないが一層の努力が必要」と叱咤する父親の顔になった。
一方で、「車いすテニスキャンプなどを通じて、目指すのは障害者と健常者を地域住民が区別しないで、公園などで両者が自然に遊んでいるような環境づくりを目指していきたい」と話す。