こんにちは。弁護士の矢野京介です。今回のテーマは、「ADHDの配偶者との離婚」です。
ADHD(注意欠陥・多動性障害)とは、多動性や衝動性、不注意を特徴とする神経発達症(発達障害)の1つです。
ADHDは個性や性格に近いもので、生まれつき現れる特性であるため、見過ごされることも多く、大人になってから症状に気づくケースも珍しくありません。そのため、結婚して初めて、配偶者がADHDなのではないかと考えるようになったという方も多いようです。
また、ADHDのある人は、その特徴から社会性に欠けるように思われてしまうことがあり、周囲とのミスマッチからうつ病や適応障害などの精神疾患を発症してしまうこともあります。
夫婦で支えあい、自分たちなりの夫婦生活を築くことができれば、それが一番なのですが、初めは配偶者のことを理解し支えようと頑張っていても、疑問を感じ悩みながらの婚姻生活が長い間続くと、心身ともに疲れ果て、次第に精神的に追い詰められてしまうことも少なくありません。
では、婚姻生活を継続させることが困難だと感じた場合、ADHDを理由に離婚をすることは可能なのでしょうか。
離婚の話し合いがまとまらず、離婚訴訟をすることになった場合、ADHDを理由に離婚することは難しいかもしれません。ただし、具体的な1つ1つのエピソードや、障害以外の事情(例えば、暴力や浪費、経済的DV、不貞など)も考慮することにより、離婚が認められる可能性もあります。
ADHDの配偶者との婚姻生活でお悩みの方、離婚をお考えの方は、一度専門家に相談されることをお勧めいたします。