夢の実現が人生を変えた

国際的ボランティア団体元事務局長
大野さんが活動記録を出版

 難病の子供の夢をかなえる国際的なボランティア団体「メイク・ア・ウイシュ」(本部・米アリゾナ州)。日本での活動を長い間支えてきた女性の元事務局長、大野寿子さん(66)=浦安市入船=が、退職を機に多くの人々と走り続けた日々を一冊の本にまとめ、上梓した。タイトルは、「夢の実現が人生を変えた」(KADOKAWA発行)。印税収入は全額財団に寄付することにしている。

大野寿子さん

著書を手にした大野さん

大野さんの著書

大野さんの著書「夢の実現が人生を変えた」

 団体名のメイク・ア・ウイッシュとは、「願いごとをする」という意味。世界39カ国、69カ所に拠点があり、日本では平成4年、沖縄で誕生。事務局が同6年、東京へ移り、「メイク・ア・ウイッシュ オブ ジャパン」として、本格的な活動を始めた。
 宗教でも政治的でもなく、難病と闘う3歳から18歳未満の子供たちの夢をかなえ、生きる力、病気と闘う勇気を持ってもらうことが目的。

 大野さんは日本支部からのスタッフ。パンフレット制作、ボランティアへの資料作りから始めた。社会に出て、本格的に働くようになって3年。43歳だった。
 日本支部の夢の実現第一歩は、翌年の「遊園地へ行きたい」。その後、「野生のイルカと泳ぎたい」「ウルトラマングレードと一緒に対戦したい」「サンタクロースと遊びたい」など、多くの夢をかなえる。その数は今年7月末までに2875人に達したという。

大きな実をつける木に種をまくのが私の仕事

 筋肉の病気と闘う17歳男子は「フェラーリでテストコースを走りたい」。夢の実現に協力したのは、自動車メーカーとフェラーリオーナーの集い。数十台の車の前で走行を楽しんだ少年は「この日を一生忘れない」と喜び、あきらめていた大学進学を果たした。

 夢のある話ばかりではない。「世界一大きいヘラクレスオオカブトムシに触りたい」と声を上げた脳腫瘍の8歳の女の子は、渡米して幼虫に触れ、大感激。だが、帰国数日後、付き添った大野さんに訃報が届いた。

 14歳でがんと闘うことになった少年は「本場アメリカで野球の観戦をしたい」という夢を実現した。30歳の今、診療放射線技師として命を守る仕事に就き、「メイク・ア・ウイッシュで夢がかない、次の夢を見つけることができた。夢の実現が僕の人生を変えた」と話す。

 本のタイトルはこの言葉から引用した。
 「こんなすごいことができたんだもの。これでもうなんだってできるような感じ」と話した女の子の言葉が今でも心に残るという。この本には、大野さんが携わった22年間の喜びと悲しみが詰まっている。
 「私たちの活動は子供の夢をかなえてあげるのではなく、夢をかなえるために必要な手配や配慮をして家族の人たちと力を合わせること。私はメイク・ア・ウイッシュの種まきおばさん。子供たちの夢が芽となり、大きな実をつける木となることを願いながら種をまく、それが私の仕事です」
 本は293ページ、税抜き1400円。
     ◇
 【略歴】おおの・ひさこ。香川県出身。上智大学卒。商社マンの妻として渡米するが、離婚。4人の子供をつれて帰国。3年後、交通遺児2人を連れた現ご主人と再婚し、6人の母親になった。事務局長のポストは退いたが、現在、財団理事。


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