弁護士 京介 「家庭の法学」(19) 年金生活者や生活保護受給者の婚姻費用

 こんにちは、弁護士の矢野京介です。
 今回は、相手が年金収入や失業保険受給者または生活保護受給者の場合の「婚姻費用」についてお話したいと思います。
 夫婦が婚姻生活を維持するためには費用がかかります。この費用を「婚姻費用」といいます。夫婦には、同居義務のほか、互いに協力して扶養する義務があります。同居していても別居中でも、夫婦である限り、自分と同程度の生活を保持させる義務があり、もし、夫(妻)が生活費をいれてくれないといった場合には、婚姻費用分担請求をすることができます。

矢野弁護士

矢野京介

 では、相手が年金収入または失業保険の給付しか収入がないといった場合でも婚姻費用の請求はできるのでしょうか。年金収入も失業手当も原則として給与収入と同じように考えますから、請求することは可能です。
 ただし、裁判所の定めている婚姻費用算定表は「職業費」を考慮して作られているのですが、年金受給者や失業保険受給者は職業費を考慮する必要がないため、年金や失業手当の場合、算定表とは少し違った金額になる可能性があります。
 次に、婚姻費用を支払う側が生活保護を受けている場合はどうでしょうか。この場合、婚姻費用分担義務は負いません。生活保護は、最低限の生活を保護するために、他の手段によって収入が確保できない場合に認められる制度ですので、生活保護費が本人以外の者の扶養に充てられることは想定されていません。
 同じように、婚姻費用をもらう側が生活保護を受けている場合にも、生活保護費は収入にはカウントされません。ですから、生活保護を受けているからという理由で、婚姻費用の金額が減るということもないのです。
 婚姻費用は過去に遡って請求することができませんので、別居前にきちんと話し合う、または別居後すぐに婚姻費用分担の調停を申し立てることが大切です。

葛西臨海ドリーム法律事務所


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