医療・健康

Dr.竜の「診察ノー卜」第42話: 血圧を低く保って 健康長寿を目指そう

 昨年夏の週刊誌は飲んではいけない多くの薬を取り上げた。主張の基本は、薬には必ず副作用があり、不必要な薬を飲むことは毒を飲んでいるようなもので、薬は一生飲むものではなく「やめ時」がある、というのだ。

竜 崇正 先生

竜 崇正 りゅう・むねまさ
浦安ふじみクリニック院長
=浦安市富士見2-18-9=

 現在、人生は90年の時代だ。人間は必ず老いるので血管の老化により、どんなに節制をしても血圧の上昇は避けられず「薬のやめ時」はない。体の隅々、特に脳に十分な血液を届け、呆けずに運動能力を保つには、動脈硬化による血管の狭小化を避けなければならない。
 週刊誌では高血圧症は血液量が増える「バンバン型」と、血管が外部から締め付けられる「ギュウギュウ型」に分けられる。日本人は「バンバン型」が多いので、塩分過剰の食生活を改善すれば「バンバン型」が減少し、薬が不必要になる、というのだ。

 この分類は一般的ではないが、高血圧には食生活の改善は有効ではあるが、薬が不必要になる人は極めて少ない。現在は塩分過剰高血圧が減少し、肥満性高血圧が増えており、脂質異常症や糖尿病、老化が加わると、動脈硬化がさらに進行するので、薬をやめるのは危険だ。
 週刊誌では、降圧剤で最も一般的に用いられているアンギオテンシン阻害剤(ARB)をやり玉に挙げた。日本人は「ギュウギュウ型」が少ないので、血管壁の弾力性を増すARBは効かないという論理だ。この論理は間違いである。
 現在は動脈硬化に起因する高血圧が大部分である。カルシウム拮抗剤や利尿剤系の降圧剤のみでは下がらない高血圧が多かったが、現在はARBの併用により高血圧のコントロールは極めて容易となっている。   
 薬には必ず作用があり、それに伴って体に悪影響のある副作用が、わずかながらある。副作用の頻度が高ければ薬として認可されないので、健康食品やサプリメントよりは安全だ。

 現在日本は世界一の長寿国だが、人生の最後に寝たきりになる人が多い。それを避けるためには、動脈硬化すなわち動脈の狭小化を避けて、脳や心臓に十分血液を送り
届ける必要がある。血管内腔が広く保たれていることは、血圧が低い事が目安になる。血管を広く保つには生活習慣が大事で、1日6グラム以内の塩分制限と野菜果物の摂取、運動、適正体重の維持が出来れば、血圧をある程度下げることは出来る。
 しかし習慣を正しくしても、65歳以上の方、肥満、糖尿病、喫煙者、肉親に高血圧、心筋梗塞、脳梗塞がいる人では、降圧剤の服薬は必須だ。

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