Dr.竜の「診察ノー卜」第41話: コレステロールを下げ、 心臓死を予防しよう

 週刊誌で日本の医療を中傷する特集が昨年7月組まれた。そのなかで飲んではいけない薬として、糖尿病、高血圧、高コレステロール血症の標準的な治療薬が槍玉に上がった。その結果、私のクリニックでもそれらの薬を飲みたくないとの声が聞かれるようになり、大迷惑をしている。
 そもそも薬には、体に都合の良い薬理作用があると同時に副作用もあるのだ。コレステロールが多い事は、栄養が足りて、免疫力が高く、がんや感染症になりにくい利点がある。

竜 崇正 先生

竜 崇正 りゅう・むねまさ
浦安ふじみクリニック院長
=浦安市富士見2-18-9=

 しかし過剰になると、血液がどろどろになって(採血すると油が浮いている)、動脈硬化になり、脳梗塞や心筋梗塞になりやすくなる。正式病名は、LDL-C(悪玉コレステロール)やTG(中性脂肪)の増加、HDL-C( 善玉コレステロール)の低下を含め、「脂質異常症」と言われる。T G やLDL-Cは血管壁に付着して動脈硬化をきたす。HDLーCは貯まったコレステロールを回収する役割がある。
 脂質異常症には自覚症状がないので、ある日突然、心筋梗塞や脳梗塞などが発症する事も多い。週刊誌では飲み続けると後遺症の出る薬として「スタチン系薬」を挙げ、「飲み続けると手足の筋肉が溶ける横紋筋融解症となる」と書いている。
 しかし世界の権威ある科学誌 New Engl J Med 2002 によれば、最も処方されているリピトールが1億4千万処方で6例、クレストールは9千9百万処方で19例と、極めて少ない。それでも一般臨床の場では、前駆症状としての筋肉痛などに注意して投薬し、また3 〜4月毎に採血して、CKという値をチェックして、絶対に筋肉融解させないようにしているのだ。
 動脈硬化による心臓死は35歳から日本人の死因の第3位で、50歳からの男性の第2位である。突然死を避けるためにも脂質異常症の対策は重要だ。極めて稀な副作用を強調する記事は、返って国民の健康を危うくするものである。

 脂質異常は先祖から受け継いだ「餓死しない体質」なので、食生活の改善だけでは解決せず、多くは服薬が必要である。加えて食生活も大切で、肉や卵の摂りすぎを避け、特に中性脂肪を低下させるには、食事量を減らし、清涼飲料やアルコールの飲み過ぎ、お菓子の食べ過ぎを避けることが重要である。
 また野菜など食物繊維、青魚、豆腐などの大豆食品等の摂取はコレステロールを下げ、動脈硬化を抑制する。


関連記事

 

アーカイブ

ページ上部へ戻る