Dr.竜の「診察ノー卜」第27話: 患者さん自身が在宅医療連携システムに参加

患者さん自身が在宅医療連携システムに参加、
自宅で見事に永眠

 患者さんは58歳の男性。東京の会社に勤めるインテリのサラリーマン。趣味は音楽で、バンドでギターを弾いている。家には奥様、多数の愛犬、愛猫が。息子・娘さんは独立し、可愛い孫も。そんな素敵な患者さんが突然膵臓がんとなった。
 手術は出来ず、抗がん剤治療を受けていたが、腫瘍マーカーが上昇してもう治療は出来ないと宣告された。彼は住み慣れた自宅で余生を全うしたいと考え、7月21日に来院した。
 患者情報をクラウド上で多職種が連携する浦安医師会のシステムに、共鳴し自分も参加したいと希望した。患者さんも自分の意見や状況を書きこめるように、タブレット端末を貸し出した。
 在宅医療チームは、患者さん、ふじみクリニック、小林クリニック、ケアマネージャー、なごみ訪問看護ステーション、ハーベスト薬局、浦安病院である。

竜 崇正 先生

竜 崇正 りゅう・むねまさ
浦安ふじみクリニック院長
=浦安市富士見2-18-9=

 最もよく書き込んだのは患者さんである。治療をあきらめたわけではなく、副作用の少ない抗がん剤治療を自分で選択し、車を運転して通院していた。9月17日に腹痛、腹部膨満が強くなったので、患者さんの意思で抗がん剤治療を中止した。
 介護保険を申請し、自宅改修、介護ベッド搬入など在宅医療の準備に入った。9月30日に腹水濾過再静注施行し、それ以降腹水の苦痛は軽減した。痛みは張り薬と少量の飲み薬でコントロールされ、必要な分だけ薬剤師が届けた。
 患者さんは自分のラストステージを演出し、バンドでのギター演奏を1時間こなし、お孫さんの運動会にも参加した。10月17日未明に、本人が望んだとおり家族に手を握られながら住み慣れた自宅で永眠された。葬儀は音楽葬で行われたという。
 本格的在宅療養になった9月25日以降、医師や訪問看護師などが計12回訪問し、チームで在宅医療を支えることができた。浦安医師会の在宅医療連携システムは多くの方の最後の人生を支える役割を担っていけると、我々にも勇気を与えてくれた患者さんだった。


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