半世紀ぶりに蘇る児童木版画 郷土博物館で12月6日まで開催

「魚市場」群像を活写

郷土博物館で12月6日まで開催

 半世紀前に児童たちが制作した木版画の展覧会が浦安市立郷土博物館で開かれている。児童木版画展は、1人の小学校教師が浦安町、流山町、松戸市(当時)で指導して制作した作品を展示。当時の町の様子、大人の仕事のなどの様子が素朴なタッチで生き生きと描かれている。

木版画「浦安の魚市場」

木版画「浦安の魚市場」。作品から感動が…。右端が安藤さん=郷土博物館

 展示されているのは木版画と、その下絵になったスケッチなど約50点。会場で目を引くのは、3点の大作。「浦安の魚市場」(90×270センチ、浦安小6年生1959年制作)、「柏駅西口の風景」(90×180センチ、流山・八木南小6年生1957年制作)、「小学校生活の思い出」(125×260センチ、松戸・小金小6年生1966年制作)で、グループで制作した。
 これをはじめ、連作「海苔ができるまで」(浦安小5年生)、「彦一ばなし」(小金小5年生)などが展示されている。
 制作を指導したのは元小学校教師、安藤弘さん(82)=流山市在住=。22歳のとき、流山町で教員生活に入り、浦安町、松戸市などで教鞭をふるった。流山時代、日本各地の教室で教育版画が取り入れられており、それに魅せられ、子供たちと展覧会に出かけたりした。教師向けの本に紹介された作品にも興味を持ち、授業に木版画教育を採用するようになった。子供たちもこれに応え、共同制作で「柏駅西口の風景」を完成させた。
 2年後に浦安町に転勤したが、当時小学校は1校だけ。ここでも共同制作をすることになった。参加した子供は10人ぐらいで魚市場を描くことにした。市場の風景、そこで働く大人たちの姿。安藤さんと子供たちは朝5〜6時に魚市場に集合し
た。
 木版画は描いた絵を裏返しにして、板に写して彫り、摺って完成させる。作品は9枚の絵を貼り合わせて作るので、ズレが出たりする。白黒だが魚市場の様子が生き生きと伝わる素晴らしい作品に仕上がった。

伝わる子供たちのエネルギー

 制作から50年、これらの作品をなんとか世に出そうと、安藤さんの呼びかけで「児童木版画作品実行委員会」を立ち上げた。参加したのは浦安、流山、松戸で安藤さんの指導で木版画制作に加わった卒業生たち。展覧会は「東葛地区児童木版画作品」として開かれることになった。流山、長野を回り、最終会場として12月6日まで開かれる。初日の10月31日には安藤さん、当時の教え子が集まった。
 そのうちの1人、浦安小卒業生の村瀬滋生さんは「朝早くから市場に集まりました。とても寒くて大変。2時間ぐらいスケッチに取り組みました」。
 安藤さんは「半世紀を経たいま、作品から放たれる子供たちのエネルギーが何かを感じさせてくれるのではないか」と展覧会に一文を寄せている。


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