冬。一年で最も干物がおいしいといわれる季節がやってきた。ユネスコの無形文化遺産に登録されて以来、和食が世界的にも注目されているが、その伝統的な和食のひとつが食卓を賑わす干物。とりわけ朝食や晩酌の一品に最適だ。その干物を販売し続けて半世紀。
ここ浦安・千鳥の水産物製造販売会社「大川水産」(大川三敏社長)本社とそのグループ会社、ひもの製造会社の株式会社日和屋(本社・静岡県沼津市)の東京工房を訪れ、おいしさや新商品開発へのこだわりを尋ねた。
一日の始まりは午前4時の仕入れから
干物も生鮮食品であるということから、手早く加工して、なるべく仕入れの翌日に店頭に並ぶことを目標にしている。干物にとっても鮮度はおいしさのためとても重要な要素である。
その素早さを可能にしているのが地の利にある。
東京湾沿いの千鳥地区。「日本のおいしい魚介類が一堂に集まる築地市場まで、早朝なら15分で着く」
仕入れは午前4時過ぎ。時間との勝負がここから始まる。目利きの社員が市場に出向く。仕入れは仲買、荷受けは問わず、すべての魚に目を通すことを心掛けている。「最上級のものも含めてこだわりをもって、鮮度のいい魚や旬の魚を中心に仕入れる」のだという。
買い付けを終えて築地を離れるのは、午前6時半ごろ。30分後には工場に待機する15人前後の職人が、包丁を手に一斉に捌きの作業に入る。
魚は種類にもよるが、短くて3時間、長いものだと20時間かけて工房で乾燥させ、商品に仕上がる。
新浦安など1都3県の駅ビルに30店舗の直営店
出来上がった干物は、主にアトレ新浦安をはじめとする大川水産の直営店舗で販売される。社員自ら毎朝仕入れに参加して製品化し、配送、販売まで一貫して自社グルーブで賄うのが大川水産の特徴。
「いい商品をいい状態でいち早く食卓に届けたい」と願う、同社のもう一つのこだわりでもある。
千葉、東京、神奈川、埼玉にある30店舗はすべて直営。分業が大半の水産会社にあって、仕入れから製造、販売まで一貫して取り祖んでいる業者は全国的にも数少ない。
アトレ新浦安店が京葉線新浦安の駅ビルにあるように、直営店はすべて主要駅の駅ビル内に店を構えている。アトレ新浦安店の店長は「ここなら多くの人に足を運んでもらえ、旬の干物をはじめ、たくさんの美味しい魚をご紹介できる」と話す。
浦安ブランド「龍宮ひもの」
大川水産が地域貢献の一環として製造・販売を行っているのが、地域ブランド「浦安の絆」として開発された塩「龍宮のおくりもの」を使用して作った逸品。その名も「龍宮ひもの」。
夏の発売に続くものだが、この冬は職人が一枚一枚丁寧に作り上げた真あじ、えぽ鯛、かます、金華さばをセットにしてお歳暮用詰合せとして販売している(税込み3456円)。
大川水産の顔ともいえる自慢の干物に特産物の名を付け、地域活性化のために少しでも貢献しようとする取り組みだ。
便利なネットショップ メールマガジンも好評
わざわざ店舗に足を運ばなくても大川水産の商品が買えるように、大川水産では便利なネットショッブを展開中。
単品から、お歳募におすすめのネットショッブで人気の商品を集めた詰合せなどいろいろな干物を取り揃えている。送料は一律500円。5000円以上の注文は無料。冷凍品は真空パックなので賞味期限は長く、鮮度が保たれたまま、一番いい状態でお客様のもとに届けることができる。
ホームページには、全店共通の明日の特売情報なども掲載。タイムリーな商品情報を伝えるメールマガジンや注文手続きが簡単なオンラインショップ会員も募集している。詳しくは「大川水産」のホームページヘ。
「話題の灰干し製法 火山灰で熟成、乾燥 うまみ成分を生み出す」へつづく