うらやすの人(13): 大切なのは昨日の自分に勝つこと

8月・柔道世界選手権女子70キロ級で準優勝
了徳寺学園職員 ヌンイラ華蓮さん

 先のことを考えるのは苦手、せいぜい明日の夕食のことぐらいが限度だとイタズラっぽく笑う。それが今は「オリンピックがちょっとだけ見えてきました、身近に感じています」と。
 8月、ロシアで行われた柔道世界選手権女子70キロ級で準優勝した了徳寺学園職員のヌンイラ華蓮さん(23)。これまで大会規模や成績に無頓着だったが、準優勝で世界ランクが38位から14位に躍進、先を見る意欲が湧いてきた。
 「決勝で勝てず悔しかった分、次に頑張れる」… 12月の東京グランドスラム(世界選手権に次ぐ権威ある大会)に向けて、練習に明け暮れる日々を送っている。

ヌンイラ華蓮(ぬんいら・ かれん)さん

 1991年5月、船橋市生まれ。両親と妹2人の5人家族。みんな応援してくれるが、家族に柔道経験者はいない。
 昨年、全日本学生柔道優勝大会、講道館杯などを制し、計3回日本一になる。今年8月開かれた世界選手権に初代表に選ばれ、2回戦、3回戦を逆転勝ちし、決勝に進んだ。

2人の恩師

 柔道を始めたのは小学生のとき。地域の相撲大会で男の子を相手に優勝し、地元中学校の柔道部に誘われた。母親の仕事の関係で強豪校・八木が谷中学校(船橋市)に転校、恩師の北守則孝先生に出会う。
 「やるからには本気で」と竹刀片手のスパルタ教育。それでも「何が良くて何が悪いか、きちんと説明してくれて納得、信頼できました」と華蓮さん。血の滲むような練習にも泣きながら耐え、2006年、全国中学校柔道大会で優勝した。
 八千代高校時代は伸び悩んでいたが、3年のとき「平成の三四郎」の異名を持ち、バルセロナ五輪の金メダリスト、古賀稔彦さんが学校にひょっこり顔を見せた。華蓮さんの練習ぶりを見て「宝の持ち腐れだ、俺が(力を)引き出してやる」と、自身が柔道部総監督を務める環太平洋大学(岡山県)に誘った。華蓮さんにとっては2人目の恩師だが、この時は「古賀って誰!」の状態だったという。

ガーナ出身の父から受けたパワー柔道

 大学の4年間、古賀先生の指導は「自分の持ち味」を活かすことの重視。自分の持ち味… ガーナ出身の父から受け継いだパワーと、日本人の母が持つ「きれいな柔道」。この2つを加味した「しっかり組んで、しっかり技をかける」スタイルだ。得意技は大内刈と大外刈。
 環太平洋大学では体育学部に籍を置き、保健体育の教員免許を取得。社会人1年生となった了徳寺学園では後輩らの指導。千葉と岡山を行き来し、柔道着が離せない。

  ◇

―― 趣味は

 「アニメとゲームとネコ。1人の時間が好き。引き込もりなのです」

――じゃあ恋人はなし

 「出会いの時間もないし、柔道界の人は嫌。柔道の話になると喧嘩になっちゃう」
 (了徳寺大では週末に柔道クラブを開いており、インタビュー時も子供たちが真剣に稽古中)

――子供たちにアドバイスを

 「大切なのは、目の前の相手に勝つことじゃなく、昨日の自分に勝つこと。練習したことを出し尽くし、昨日より1歩成長すること」


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