Dr.竜の「診察ノート」第4話: 胃がん予防とピロリ菌除菌 胃内視鏡検査を積極的に

胃がん予防とピロリ菌除菌 胃内視鏡検査を積極的に

Dr.竜の「診察ノート」

 胃がんの死亡率は2011年で第2位、第1位は肺がんです。しかし胃がんの罹患率(一定期間に発生する患者数が全人口に占める割合)は依然として第1位であり、生涯に胃がんで死亡するリスクは男性で25人に1人、女性で55人に1人となっています。

竜 崇正 先生

竜 崇正 りゅう・むねまさ
浦安ふじみクリニック院長
=浦安市富士見2-18-9=

 胃がんで命を落とさないような対策が必要です。日本では早くからがん検診が積極的に行われており、集団検診ではバリウムによる胃2重造影X線検査が行われています,しかし、がん検診受診率は30%と低く、効果的に早期がんを診断するには限界があります。

<高齢者ほど感染率が高いピロリ菌>

 近年、胃がんとビロリ菌の関係が明らかになってきました。ビロリ菌は衛生状態の悪い環境で感染するもので、戦後の時代を過ごした年齢層ほど感染率が高く、若年者では著しく低い感染率となっています。

 感染すると、胃粘膜の広範な炎症が起こり、ひどい萎縮性胃炎となり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、MALTリンパ腫、過形成ポリープ、胃がんなどの原囚となります。

 胃がん予防のためのビロリ菌除菌は、健康保険で認められていませんが、内祝鏡や胃バリウム検査で慢性萎縮性胃炎と診断されれば、健康保険でビロリ菌を除菌できます。

<胃がん予防には積極的に除菌を>

 ビロリ菌に関係しない胃がんの発生は極めてまれですので、胃がん予防のためには積極的に除菌をすることが大切です。

 ピロリ菌の感染の診断は、内祝鏡での標本から、ウレアーゼ呼気テスト、血液検査、便の検査などから行うことができます。除菌にはアモキシシリンとクラリスロマイシンの2種類の抗生物質をプロトンポンプ阻害薬という胃薬と共に1週間服用します。

<耐性菌増加で除菌成功率は75%に低下>

 2007年での除菌成功率は85%でした。除菌効果判定は、治療終了後2か月程度で、便の検査で行います。最近は風邪などでの乱用によりクラリスロマイシンの耐性菌が増加しており、除菌成功率は75%前後に低下しています。
 不成功の場合はメトロニダゾールを用いて除菌を行い、こちらは耐性菌が2%前後と少なく90%以上の除菌成功率となります。

 除菌に伴う副作用は、2倍量の抗生剤服用による下痢や旧き気などが15%の方にみられますが、軽度な服薬をあきらめるほどの副作用は極めて少ないと思います。
 胃がんから命を守るために、胃内視鏡検査を積極的に受け、ビロリ菌に感染している方は除菌をしましょう。


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