Dr.竜の「診察ノート」第9話: 予防ワクチンと検診で子宮顕がんを撲滅しよう

予防ワクチンと検診で子宮顕がんを撲滅しよう
年間3000人が死亡
Dr.竜の「診察ノート」第9話

 子宮頸がんに罹患する方は年間約1万人、亡くなる方は3千人もあり、特に若年者に増加している。
 子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)感染が原因の、予防可能ながんである。扁平上皮がんが主であるが、最近、細胞診検査用のブラシが届きにくい場所にでき、抗がん剤や放射線が効かない予後不良の腺がんが急増している。
 HPVは100種類以上あり、腺がんはこのうちの18型HPVに関係している。18型に対する抗体価を高く持続させるため、ワクチンにはアジュバントが添加されており、これが注射の痛みが他のワクチンよりも強い原因となっている。
 HPVワクチンを3回打つことにより60~70%の子宮頸がんを予防することができるが、他のHPV型が原因の子宮頸がんがあるので、がん検診が必要である。

竜 崇正 先生

竜 崇正 りゅう・むねまさ
浦安ふじみクリニック院長
=浦安市富士見2-18-9=

<無料検診券の配布も低い受診率>

 20歳を過ぎた女性には2年に1回のがん検診が推奨される。国では検診受診率50%以上を目標とし、2013年までに、20、25、30、35、40歳の女性に無料の検診クーポン券が配布された。検診で、前がん状態で早期診断できれば、子宮頚部の円錐切除で治癒でき、妊娠も可能だからである。しかし、がん検診受診率は20%台と異常に低いままである。
 HPVワクチンはこれまで全世界の120カ国以上で認可、接種されており、その有効性と安全性は広く認められている。
 日本では、子宮頸がんワクチンは文明国では最も遅く2009年に認可された。しかし、3回の接種と高額な費用のため、多くの患者団体などが公費負担による予防接種を国に陳情。その結果2013年4月から予防接種法に基づく定期接種となり、小学校6年生から高校1年生の女子は全額公費で接種できるようになった。

<痛みを伴う合併症が障壁に>

 それも束の間、ワクチン接種の痛みによる「複合性局所症候群」例がマスコミに大きく報じられ、厚生労働省は6月に、定期接種としては継続するが接種の勧奨はしないという措置をとった。
 同省によれば、複合性局所疼痛症候群の頻度は860万回接種に1回だが、2009年以来、注射部位の腫れや痛み・しびれ・関節痛を訴える報告は956件を数えた。このすべてがワクチン接種と因果関係にあるかは不明だが、重篤な合併症だけに迅速で手厚い保障は必要であろう。
 一方で、昨年6月にWHO(世界保健機関)の諮問委員会が日本での副反応報告も検討したうえで、HPVワクチンの安全性を改めて確認したのも事実である。
 年間3千人もの若い女性の死を減少させるためには、子宮頸がんワクチンと子宮がん検診が必須であろう。


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