Dr.竜の「診察ノート」第7話: 猛威ノロウイルスから逃れるには  まずは手洗いの励行を

猛威ノロウイルスから逃れるには まずは手洗いの励行を

Dr.竜の「診察ノート」第7話

 ノロウイルスが猛威を振るっている。冬なのに食中毒が多発し、学校でも、病院でも、家庭でも、その脅威におののいている。なぜこの冬の時期にノロウイルスが猛威を振るうのか。その対策を考えてみたい。

竜 崇正 先生

竜 崇正 りゅう・むねまさ
浦安ふじみクリニック院長
=浦安市富士見2-18-9=

<熱に弱いが、低温では8週間も生存>

 ノロウイルスに汚染した食事を摂ったり吐物などに触れると、経口感染して、ウイルスは十二指腸から小腸上部で増殖、感染性胃腸炎を起こす。
 熱に弱く80度1分間で死滅するが、低温には強く、4℃では8週間も生存するので、冬場の感染が圧倒的に多い。
 ノロウイルスを培養細胞に感染増殖させることがまだ出来ないので、予防や治療ワクチンは製造できない。感染したら、脱水治療などの対症療法が主体となる。
 症状は、38度の発熱、腹痛、嘔吐、下痢などで、感染から発病までの潜伏期間は平均1~2日。症状が収まっても、便からのウイルスの排出は1~3週間程度続くので感染が広がり易い。
 また感染しても発症しない場合や、風邪症状だけの場合もあるので、感染に気が付かないケースも多く、感染防御が非常に困難。

<ピューラックスで手洗いを>

 感染の予防には、単純に水での手洗いが有効だが、逆性石鹸やアルコール消毒は無効で、次亜塩素酸ナトリウム(ピューラックス)が有効消毒薬である。
 しかし、トイレなど感染者が用いた可能性のある場所では、ドアノブや水道蛇口などが汚染している可能性がある。直接触らず、紙やティッシユで触れるなどの配慮が必要。特に病院や学校などでは蛇口に触らないで水が出る設備が望ましい。下痢をしている場合、紙でお尻を拭くと、手が汚染する可能性があるので、ウオシュレットを用いるべきである。
 大変なのは嘔吐物の処理。吐物が飛び散らないようトイレで吐くように留意する。室内で吐いた場合は、吐物が衣類に付着しないように手袋で吐物を集めてピューラックスで拭き取り、ビニールの袋に入れて廃棄する。吐物が放置されて乾燥すると、ウイルスが空気中に広く拡散するので、初期操作が肝要。
 汚染地域ではノロウイルスが流出している可能性もあるので、貝や牡蝸などは熱処理を心がけ、調理する包丁で野菜などを切らないことも大事だ。

<下痢は自己防御反応>

 寒さが続くこの時期、嘔吐と下痢を訴える患者が非常に多いが、必ずしもノロウイルス感染ではない。対応は同じなので、脱水症の予防と治療をすればよい。
 下痢や嘔吐はウイルスを体内から排出する自己防御反応なので、特に薬で下痢を止めてはならない。嘔吐や下痢を発症した場合は、感染拡大予防に努めればよく、過剰反応は避けるべきである。


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